2012年2月16日木曜日

グリム兄弟とメルヘン街道

ドイツ語文法には語尾の弱変化・強変化というやっかいなものがあります。この「弱変化・強変化」という用語は、『グリム童話』で有名なグリム兄弟の兄の方、ヤーコプ・グリムの研究から生まれた造語らしい。彼は法制史・印欧語の研究者で、社会的にも成功した人だったようです。

ヤーコプ・グリム(Jacob Ludwig Karl Grimm)とウィルヘルム・グリム(Wilhelm Karl Grimm)のグリム兄弟を、何となく中世の人かと思っていましたが、実際は18世紀に生まれ19世紀に活動した、現代の人なのでした。当時ドイツは疾風怒濤と呼ばれる文学運動のただ中にあって、ドイツ固有の文化・伝統の見直しが求められ、民謡や童話に注目が集まっていたそうです。


グリム兄弟に関わる地域が観光に力を入れています。グリム兄弟が生まれたハーナウはフランクフルトから東へ20kmほどのところ。ここが通称「メルヘン街道」の始まりで、彼らが幼少時代を過ごしたシュタイナウ、大学生時代を過ごしたマールブルク、教鞭を執ったゲッティンゲン、「ゲッティンゲン七教授事件」で失職し、亡命していたカッセルなどを繋ぎます。メルヘン街道はハーナウから北に延び、グリム童話の『ブレーメンの音楽隊』にちなんで、終点はブレーメン。

~街道、ってドイツ人は好むようですね。実際そのルートに沿って歩くかどうかは別にしても、人や地域が連合し、協働することに対して積極的な感覚を持っているような気がします。